こんにちは、フォトグラファーのHinoです。
平日は京都で商業写真の撮影、休日は趣味で風景・スナップ撮影をしています。
今回は、現在世界中で注目を集めているAI チャットボット「ChatGPT」を、フォトグラファーはどのように活用できるのかについて考えてみました。
これからの時代のフォトグラファーは、日々進化し続けるAIの技術と柔軟に付き合っていくことこそが生き残りのカギとなってくるかもしれない…。
最後の章では、業務やプライベートでも日々写真を撮り続けている私が、現時点で考えている「フォトグラファーとAIはこれからどう付き合っていくべきか」という内容にも触れてみましたので、興味のある方はぜひ最後まで読んでみてくださいね。
では早速。
このページの内容
この記事の大まかな流れ
この記事は、
1.ChatGPTって何?簡単におさらい
2.フォトグラファーがChatGPTを活用できそうな場面を具体的に紹介
3.ChatGPTには、まだ苦手な質問がある
4.フォトグラファーは、ChatGPTをはじめとする「AI」とこれからどう付き合っていくべきか。
ざっくりとこんな4ステップで進めていきます。
ChatGPTって何?簡単におさらい
ChatGPTは、人工知能の一種で、「人間のような自然な言葉で会話」ができるように設計されたシステムです。
文章での質問に対し、凄まじい精度で自然な文章の返答をくれるため現在世界中で話題沸騰中なのですが、
2023年2月現在ChatGPTは、簡単なアカウント作成のみで誰でも無料で使うことができるのです。まだ使ったことがない方はぜひ一度触ってみてください。
そして、こんな革命的なサービスをフォトグラファーである私も何とか活用したい!!
ということで、次の章ではChatGPTをフォトグラファーはどのように活用できるのかについて考えてみました。
フォトグラファーがChatGPTを活用できそうな場面を具体的に紹介
入力した「文章」に対して自然な「文章」で返すのが得意なChatGPT、一見写真には生かす方法なんてなさそう!と感じるかもしれませんが、アイデア次第では色々と活用できるのです。
ここではいくつかの活用方法の具体例を紹介していきます。
撮影前の機材準備や注意事項の洗い出しに
1つ目に活用できそうと感じたのが「撮影前の機材準備や注意事項の洗い出し」について。
例えば、撮影に出かける前に、以下のようなテンプレートに、撮影に関する情報を入力していきます。
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以下のような撮影を行う予定です。この撮影に関して、必要な機材や注意事項を教えて。
撮影日時:
撮影のジャンル:
ロケーション:
被写体:
ライティング:
撮影予定の内容詳細:
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(↑ぜひ皆さんもコピーして、ChatGPTに質問してみてください。)
このテンプレートに具体的な撮影の内容を入力して、こんな風にChatGPTに質問してみたところ…
このような返事が数秒で返ってきました。
カメラや三脚に関しては当然必要と思われる機材ですが、天気も考慮してフィルターまで提案してくれました。
神社や猫へのケアも行き届いた回答となっていて、数秒で答えてくれたクオリティとは思えないほどでした。。
このように、今から行う撮影を事前に見直したり、機材の準備、気をつけるべきことがざっくりと簡単に洗い出せるのです。
完璧な解答では無いものの、撮影に出かける前の軽い確認にはちょうど良さそうですね。
撮影のアイデアが煮詰まった時のサポートに
次に活用できそうと感じたのが「撮影アイデアが煮詰まった時のサポート」について。
私はほとんど毎日写真を撮っているのですが、ときには「なんとなく新鮮な写真が撮れなくなってきた」なんて悩むことがあります。
そんな時に使えそうな以下の質問↓
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写真撮影のアイデアについて悩んでいる。
以下のようなシチュエーションで新鮮な視点の写真を撮るには、どんなことに気をつけるべき?
撮影のシチュエーション:
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(↑ぜひ皆さんもコピーして、ChatGPTに質問してみてください。)
ここに具体例を入力してChatGPTに質問してみました。
すると、こんな回答が。
「雨が降る中での行動」に着目するのは素直に面白いなと感じたし、濡れた道路に反射する人や車撮りたい‼︎ってなってきている自分がいる…。
良い写真を撮るためには「ああでもない、こうでもない」と悩む時間も大切ですが、悩みすぎて撮りにいくのを諦めてしまうくらいなら、一度ChatGPTに救いを求めるのもアリだと思いました。
編集ソフトの活用方法について質問
次は写真編集に関して、「編集ソフトの活用方法について質問」はChatGPTの得意分野なのかなと。
例えば、Photoshopを使って人物写真の肌を自然で綺麗に仕上げたければ、以下のように質問してみましょう。
すると、こんな回答が返ってきました。
「まずはレイヤーを複製するところから」というPhotoshop独自の”慣習”のようなステップから、肌を補正するツールの具体的な使い方まで、とても丁寧に教えてくれました。
簡単な質問をしただけでここまで教えてくれるのならば、今までPhotoshopに苦手意識を持っていたフォトグラファーの皆さんにはかなりの朗報だと思います。
写真関連のツールだけでなく、初めて触れるツールの使い方は、ChatGPTがそばにいてくれるだけで迷うことは無くなりそうですね。
SNS投稿用の写真のキャプション作成のサポートに
最後にご紹介する活用法が最もChatGPTらしいかもしれないですが、「SNS投稿用の写真のキャプション作成のサポート」をしてもらうという方法です。
「投稿したい写真は準備できてるのに、これに添えるちょうどいい言葉がなかなか見つからない。。」と悩んでいるフォトグラファー仲間をよく見かけてきたので、この方法が救世主となってくれるかもしれません。
しかしながら、ChatGPTは「文字で質問した内容に対し、文字で返答してくれる」というサービス。
直接写真をアップロードして、キャプションを考えてもらうことはできません。
そこで、写真に写っている情報をいくつか文字に起こして教えてあげましょう。
今回はこちらの写真を例にしてみます。
この写真を文章で表すとすればこんな感じになります。
「瓦屋根の上で日差しを浴びて目を細めている猫が写っている。」
この文章をもとに、ChatGPTにこのように質問してみました。
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「以下のような写真がある。この写真に添えるキャプションを20文字程度で10個提案して。
写真の説明:瓦屋根の上で日差しを浴びて目を細めている猫が写っている」
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するとこんな回答が。
ちょっとゆるい感じすぎるというか、キャピキャピしすぎですね笑
もう少し使いやすい回答を得るために、「情緒的な」と「絵文字を使わずに」という条件を追加して、質問を調整してみました。
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「以下のような写真がある。この写真に添える情緒的なキャプションを絵文字を使わずに20文字程度で10個提案して。
写真の説明:瓦屋根の上で日差しを浴びて目を細めている猫が写っている」
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(↑ぜひ皆さんもコピーして、写真の内容を任意に書き換えてChatGPTに質問してみてください。)
すると回答がこのように変化しました。
かなり穏やかで大人っぽい文章に変わりましたね。これは結構使いやすそうです。
質問内容の仕方を少しひねるだけで、より良い回答が得られるのもChatGPTの面白さです。
候補に挙げてもらったキャプション、
そのまま使うと少し不自然なものも混ざっているため、これらを参考にして、使用するキャプションを仕上げるのが良いと思います。
全くの0からキャプションを考えるのは大変ですが、このようにChatGPTに手がかりをもらえると、キャプション作りもグッと楽になりますね。
ChatGPTには、まだ苦手な質問もある
ここまでの活用法を見ていると「ChatGPTは何でも出来て万能だ!今後は何でもChatGPTに相談しよう!」
とまで思ってしまいますが、実はまだまだ苦手な質問もあるみたいです。
ChatGPTはローカルな「場所」に関する質問にはまだまだ弱い
ChatGPTをロケハンに使えたら便利かも…?!と思い、以下のような質問をしてみました。
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「明日は北野天満宮へ撮影に行こうと思う。そこで、北野天満宮から徒歩10分圏内で、ついでに寄れる撮影スポットがあれば教えてほしい。」
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すると、こんな返答が。
一見正しい情報のように見えてしまいますが、よく見ると、正しくない情報がちらほら。
「祇園甲部歌舞練場」は北野天満宮からは遠く離れた祇園の中にある場所ですし、
「鞍馬寺」に関しても徒歩10分では到底辿り着けない場所にあります。
このように、ローカルな情報にはまだまだ弱いらしく、答えてくれたとしても内容が間違っていたりしました。
ですので、現段階のChatGPTにロケーション探しのお手伝いは、まだ現実的ではなさそうですね。
今は苦手な質問も、ChatGPTが進化して正確に答えられるようになるはず
現在ChatGPTの内部では、「GPT3.5」というモデルのテキスト生成AIが情報を処理しているのですが、今後数ヶ月以内に「GPT4」という新モデルがリリースされる予定になっているとのこと。
AIは日々急激なスピードで進化を遂げているため、先ほど挙げた「苦手な質問」も、きっと近いうちに正確に回答してくれるようになるでしょう。
フォトグラファーは、ChatGPTをはじめとする「AI」とこれからどう付き合っていくべきか。
質問すればほとんどの内容に新鮮なアイデアも交えて回答をくれるChatGPT。
これ以外にも、いつも使っているLightroomやPhotoshopにもAIの技術が着々と搭載されてきており、ここ数年でもフォトグラファーの細かい業務はAI任せにすることが多くなりました。
少しずつ「人間がやらなくてもいい」写真に関する領域が増える中で、私もいちフォトグラファーとして、AIとどのように付き合っていくべきか考えてみました。
ChatGPTをはじめとするAIへの「指示力」を高める。
AIの進化は今後とどまることなく、人間の知能レベルを超えるタイミング「シンギュラリティ」がかなり早い段階で訪れると思います。
おそらくこれは変えることができない未来なので、「AIに仕事を奪われる…」だとか、「写真の仕事もどんどん減っていくんだろうな…」と落ち込むのは時間がもったいないと思います。
それよりも、「どんな指示を出したら写真撮影がもっと楽しく快適になるだろう?」だとか、「今やってる業務はいっそAIに任せて、自分の感性を活かしたクリエイティブな仕事をする時間を増やそう!」という方向に思考を働かせていきたいと思っています。
そのために、AIの進化の過程を日々学び、ChatGPTをはじめとするAIに日々触れ続けることで、最大限AIを活かすための「指示」の感覚を今から鍛えておこうと思います。
ChatGPTであれば、よりユニークで有用性の高い回答を引き出すための「文章での指示の感覚」、
PhotoshopやLightroomであれば、時間がかかる単純作業はAIに、人間の創造性がモノを言う作業は私自身でというような「創造性を最大化するための指示の感覚」を、
写真の撮影や編集でAIを活用することを通じて鍛えていくつもりです。
来たる「シンギュラリティ」のタイミングにもうろたえることなく、フォトグラファーの創造性を増幅させる装置としてAIを使いこなせる自分でありたいなと今は思い描いています。
AIには表現できない「感覚」や「思考」、「個性的な歪み」を今まで以上に大切にする。
ここ数年のAIの進化を見ていると、「美しい写真」そのものは人間よりもAIの方が上手く生成できる時代がすぐにやってくると思います。
ただしAIが生成する「美しい写真」は、人間が与えた指示に従って生成した”最適解”に過ぎません。
だからこそフォトグラファーは、目の前の景色を撮る時に感じた「風の冷たさ」や「朝日の眩しさ」という感覚、「人物が横切る瞬間を狙う」であったり「黄金比を意識した構図で撮ろう」という思考のプロセスを写真に落とし込み、”最適解”の美しい写真でなくとも、自分の感性でしか弾き出せない”個性的な歪み”のある写真を撮ることを意識していくべきだと考えています。
AIが再現しやすい”最適解“的な「美しい写真」は、「誰でも生成できる写真」と言い換えられるようになり価値は下がっていく中、
一般的な「美しい写真」ではなくとも、感覚や思考のプロセスが乗った“個性的な歪み”のある写真はAIにも模倣されにくく、価値は上がっていくと私は予測しています。
まとめ
1.ChatGPTって何?簡単におさらい
→ChatGPTはAIの一種で、文章での質問に対し「凄まじい精度で自然な文章の返答をくれる」という画期的なサービス。現在世界中で話題沸騰中。
2.フォトグラファーがChatGPTを活用できそうな具体的な場面
・撮影前の機材準備や注意事項の洗い出しに
・撮影のアイデアが煮詰まった時のサポートに
・編集ソフトの活用方法について質問
・SNS投稿用の写真のキャプション作成のサポートに
3.ChatGPTには、まだ苦手な質問がある
・現時点のChatGPTは、ローカルな「場所」に関する質問にはまだまだ弱い印象
・でもアップデートで苦手な質問も克服していきそう
4.フォトグラファーは、ChatGPTをはじめとする「AI」とこれからどう付き合っていくべきか。
・ChatGPTをはじめとするAIへの「指示力」を高めて、AIを「フォトグラファーの創造性を増幅させる装置」として使うトレーニングをしておく。
・AIには表現できない「感覚」や「思考」、「個性的な歪み」を今まで以上に大切にする。
最後に
今回の【フォトグラファーはChatGPTをどう活用できるか考えてみた。】についての記事はいかがでしたか?
ChatGPTは2023年に入って一気に世界に浸透してきた感があり取り上げてみたテーマでしたが、記事にするにはなかなか時間がかかりました。
今後もフォトグラファーとして世界の流れにどう適応していくのかについては意識し続けて、記事を書いていきたいと思います。
ではまた次の記事で。
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